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LP flyer-a | design: yusuke mimasu (intext)

Exhibition as media 2014

phono/graph -sound, letters, graphics-

2015.3.21 sat - 4.12 sun
kobe art village center
12:00 - 19:00 closed on tuesday
Fee: 300yen

Presented by:
Kobe Art Village Center
(Designated administrator: OSAKA GAS BUSINESS CREATE Co., LTD.)
Assisted by:
KORG INC.
DNP Foundation for Cultural Promotion
Boat Pier Kobe Shinkaichi
Seian University of Arts and Design
Under the auspice of:
Kobe City
Kobe City Board of Education
Kobe Shimbun
Sun Television Co.
Radio Kansai

party phono/graph

performance and party
Date: 12 April 19:00 - 21:00
Admission: Free

workshop

littleBits × KORG Synth Kit / Sound workshop
Date: 12 April 15:00 - 17:30
Venue: Kobe Art Village Center 2F / KAVC Hall
Capacity: 15 people
Fee: 1500yen / Reservations required

Exhibition as media 2014

phono/graph -音、文字、グラフィック-

2015年3月21日(土) - 4月12日(日)
神戸アートビレッジセンター
12:00 - 19:00 火曜休館
料金: 300円

主催:
神戸アートビレッジセンター
(指定管理者 : 大阪ガスビジネスクリエイト株式会社)
協力:
株式会社コルグ
公益財団法人 DNP文化振興財団
ボートピア神戸新開地
成安造形大学 情報メディアセンター
後援:
神戸市
神戸市教育委員会
神戸新聞社
サンテレビジョン
ラジオ関西

party phono/graph

メンバーによるパフォーマンス・イベント
日時:4月12日(日)19:00-21:00
料金:無料 ※予約不要

workshop

littleBits × KORG Synth Kit / サウンド・ワークショップ
日時:4月12日(日)15:00-17:30
会場:神戸アートビレッジセンター2F/KAVCホール
定員:15名
参加費:1,500円 ※要予約

17世紀の音・文字・グラフィック

奇妙な自動演奏装置

17世紀の始まりとともに産声をあげたアタナシウス・キルヒャー(Athanasius Kircher)は、バロック期を代表する博覧強記と異様とも思える好奇心の持ち主であった。彼はあらゆる事象に興味を持ち, カソリックの重職についている地位を利用し、膨大な資料を手に入れ、それらの資料をリミックスして、宗教から天文学、光学…そして音響学まで、 多くの著書を残している。
17世紀は、科学と技術の革新の時代でもあった。望遠鏡、顕微鏡の出現、そしてカメラオブスクラの実用化は、マクルーハンの言う通り、我々の身体機能を飛躍的に拡張した。それらの視覚的情報は、既に威力を発揮していた活字印刷とともに書物の機能を強化し、視覚の優位性を高めた。その視覚の世紀に、キルヒャーは視覚ばかりではなく聴覚についても只ならぬ興味を示している点に私は惹かれた。

1980年にドイツで開催された「Für Augen und Ohren(目と耳のために)」展のカタログを開いたとき、小さな図版に目を奪われた。自動演奏装置の歴史についてのテキストに出てきたもので、ドイツ語のテキストで内容はわからなかったが、そのイラストを見た途端、私の中で何かが腑に落ちた。
それはとてもナンセンスな自動演奏装置のアイデアについてのイラストであった。
牛が何かくわえている。それはフイゴに繋がり、フイゴにはバグパイプのような楽器が取り付けられている。牛の頭部に乗せられた桶に水が注がれる。その重さに耐えられず思わず息を吐くと、フイゴから空気がバグパイプに送られ、音が鳴るという仕組みのようである。このイラストの出典はAthanasius Kircher“Musurgia Universalis”(1650)となっていた。

テクノロジーの革新は、多くの場合上述のようなナンセンスな妄想から生まれることが多いのが事実である。
誰もが馬鹿馬鹿しくて現実に試してみようとしないことを遊び心で実験してみたことから、現在我々が重宝している道具の数々が生まれているのである。

phonographの誕生

フランスの印刷技師レオン・スコットが煤をコーテイングした紙を、豚の毛で掻き消すことによって音の状態を目に見えるように記録したことに始まり、その後シャルル・クロにより録音/再生の技術が考案され、ほぼ同時期にメディア操作の達人エジソンが録音/再生機械の特許を取得し、彼はその機械を「phonograph」と名付けた。そして彼は「蓄音機の父」と呼ばれるようになった。

エジソンも鋼鉄の針と錫箔、それだけの材料で歴史上初めて、人の声を記録/再生することに成功した。これほど簡単な原理と仕組みであれば、17世紀にキルヒャーが考案していても不思議ではなかったように思える。針で錫箔の表面に引っかき傷をつける。そしてその溝を針でなぞる、たったそれだけのことである。何故、19世紀の終わりになるまで誰も作れなかったのだろう?それは多分、技術や知識の問題ではなく、好奇心と遊び心の問題だろう。

好奇心と遊び心の持ち主、ブルーノ・ムナーリはこう記している。「誰かがこれなら僕だってつくれるよと言うなら、それは僕だって真似してつくれるよという意味だ。でなければもうとっくにつくっているはずだもの」(阿部雅世 訳)

藤本由紀夫

think phono/graph

1F KAVCギャラリー

一階ギャラリーは「phono/graphについて考える」ことをテーマに空間が作られている。
様々な視覚的、聴覚的、触覚的なphono/graphに関する資料や作品が展示されている。それらの資料、作品のほとんどは、我々が書物を読書するように、手にとって、そして鑑賞者が身体を使うことを求めている。

「考える」ということは,「興奮」と「冷静」の両極を揺れ動く行為である。

touch phono/graph

BF KAVCシアター、スタジオ3

地階シアターとスタジオでは、音ー文字ーグラフィックで構成された空間を触覚的に体験する空間が作られている。
一階ギャラリーが、離れた場所からphono/graphに対して向かい合うのに対し、地階の展示空間では、音―文字―グラフィックの空間に身体がどっぷり浸ることを目的としている。

「触れる」とは、身体の直接的な接触だけではなく、視覚、聴覚等すべての感覚を使って行われる行為である。様々な情報が同時に展開される空間で我々はまず混乱する。そして、しばらくすると、雑多な情報を自分なりに編集する自分がいることに気づく。つまり「触れる」とは「考える」ことでもある。